できごと

 

或る人にとっては

前歯の裏側を舌先でなめることが

心躍る情景を思いついた表れだった

 

或る人にとっては

いつもの道をいつもより2歩多く歩くことが

愛が深まった表れだった

 

或る人にとっては

こめかみにできた吹き出物をそっと撫でたことが

大切な何かを捨てた表れだった

 

或る人にとっては

朝食の一口目を十回噛んで飲みこんだことが

恋がはじまった表れだった

 

或る人にとっては

夢の中で生きることが

現実を生きている表れだった